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ビジネスマン必見!三国志に学ぶビジネスで成功するための方法

三国志

吉川 英治

今から1800年ほど前、中国が「魏、呉、蜀」という3つの国に分かれていた内乱の時代を描いた作品である。歴史小説としてはあまりにも有名で、読み手によって様々な捉え方ができる。「読むと人生観が変化する」とも言われる作品。長い人生の中で一度は読破することをお勧めする。

単純な物語としてもおもしろい

作品は中国が「漢」と称されていた時代(詳細には「後漢」と言われている)、皇帝の支配力が低下し、群雄割拠の世の中となる。戦乱が繰り返され、曹操の「魏」、孫権の「呉」、劉備の「蜀」が建国される。

 

統一はされず「3国分裂」の状態が数十年続くが、やがて「魏」が「蜀」を滅ぼす。「呉」は「魏」に降伏する。「魏」が天下を統一するかと思われるが、「魏」国内でもクーデターが起こり曹一族は滅びてしまう。

 

代わって「司馬炎」率いる「晋」が中国を統一するのである。権謀術数、信頼、裏切り、兵法の妙味等々、単純な歴史の物語として読んでも十分に楽しめる。

「人の心」という要素が強い

戦乱を描いているのであるから、残酷な「戦場」の場面は多い。にもかかわらず三国志が長く愛される理由は「人の心」をしっかりと描写しているからである。

 

劉備、関羽、張飛による「桃園の義」は「義兄弟」としての3人の繋がりを表すものとして有名であるが、実は「桃園の義」の裏には「劉備の母」の存在が欠かせない。「劉備の計り知れない人間力」だけでなく「子を思う母の気持ち」が関羽、張飛の心を動かしたと言っても過言ではない。

 

他にも、作品中「人の心」を描く場面は多々存在する。劉備が天才軍師「諸葛亮孔明」を自軍に迎え入れる時の「三顧の礼」、自分の子を百万の曹操軍から守ってくれた将(趙雲)に対し、「子はまた産めば得られる、しかしお前のような将は二度と得られない」と労う劉備、「心を攻めるは上策、城を攻めるは下策」との考えを持つ孔明と馬謖…等々「心」が描かれる場面が三国志を盛り立てる。

将軍達の生き方がビジネス社会に活用できる

戦国時代、「一国一城の主」となるために、まずもって必要なのは「武力」である。しかし、三国志では武力のみに頼って突進してくる武将を「猪武者」と呼び、あっけなく滅んでいく者が多数いる。いくら屈強な「武力」を持っていても、用い方を誤れば破滅するだけである。

 

一方、孔明が言うように「学問のための学問」は無意味で「知力」においても「活用してこそ意味がある」のだ。この辺りの考え方は現代のビジネス社会にも通用する。「武力、知力」などは「学力」「業務スキル」といった「能力」に相当する。そして、その「活用」のために「人脈」「コミュニケーション能力」が必要となってくる。「能力」だけではビジネスは成功しない。「活用」してこその「能力」なのである。

 

「能力」の高さは重要であるが「絶対要件」ではないのである。こういった所を読み取れるのも三国志のおもしろさである。

読み手の年代ごとに参考にできる要素がある

上述した「能力」「活用」に関する話は、30代前半くらいまでの若年層の役に立つであろう。しかし、三国志はこれだけではない。30代後半以降の中高年層には、人の用い方、用兵術が参考になる。

 

代表的なのは曹操と劉備との「人の用い方」である。両者ともに「心の繋がりを最も重んじる」という部分は同じなのであるが、曹操は「人間的に多少問題があっても組織のプラスになるのであれば、なんとか使いこなす」という方針であるのに対して、長らく劉備や孔明は「人間性を重んじる」ことに徹してしまう。

 

蜀の国は「人の和によって成立した国」と言われているが、最終的には人材難に陥り、それが魏に滅ぼされた原因であるとも言われている。組織論において、どこまで「人心重視」を用いるか中高年層には大いに役立つ内容であると思う。長い間、幅広い年代に受け入れられている三国志。その理由は「幅広い年代の人々の参考になるから」であろう。