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長期的に良い人間関係を築くための怒らない技術とは?

怒らない技術

嶋津良智

「短気はソン気」を深く掘り下げ、「怒ることは時間の無駄」「他人は変えられない」「自分を変えることで人生は好転する」等々、「ビジネスシーンにおける怒り不要論」、「どうしたら怒る感情を持たないようにできるか」が作者の成功体験を元に紹介されている。

 

「日々イライラしてストレスが溜まっている」、「仕事にモチベーションが上がらない」、「仕事上の人間関係をウマく構築できない」などの悩みをお持ちの方には、よいカンフル剤となるだろう。

命を時間に置き換える考え方

本書では「怒らない」というよりも「怒りを感じないようにする心の構築方法」がいくつも紹介されているが、そのなかでも「命」を「時間」に置き換えて考えているところが特徴的である。

 

「人生80年」と仮定して…

「80年」⇒「960ヶ月」⇒「350,400日」⇒「8,409,600時間」

 

「時間を無駄にすること」は「命を無駄にすること」という発想には説得力がある。「怒ることは無駄」であるだけでなく「怒ることは命を縮める」ことにもつながる「怒ってもいい事なし」なのだ。

 

「では命(時間)を無駄にしないためにはどうすればいいのか?」という方法論の考察に行き着く。

他人を変えることは難し、自分を変えることは易し

年齢を重なるに従い「家族、友達」以外の人間関係は多くなる。「ご近所付合い」「先輩後輩」「上司部下」「お客と店員」…多種多様である。

 

意見が一致しなかったり、感情的になるケースも多い…そんな時「自分を曲げず、他人を変える」のは大変だということは容易に想像できる。しかも大きなストレスを伴う。

 

「180°方向転換」「今までの自分を全否定」とまで行く必要はないが、「発想を変える」「別の視点から考え直す」「妥協点を見出す」等の考え方ができるようになれば「怒る」機会は激減するはずである。これは、誰の協力を必要とする訳でもない。費用が掛かる訳でもない。もっとも簡単な手法である。

「怒ってばかり」の人間は最終的に独りぼっち

小学生くらいまでは「ケンカが強い」「怒るとコワイ」はある程度のステータスになる。「強いが一番」である時期は確かにある。

 

しかし、中学生、高校生と成長するに従って、そのステータスは通用しなくなる。「ケンカ⇒交渉能力」「怒り⇒推進能力」に変換できない者は社会から徐々に孤立していく。これは、一般的なビジネス社会でも同様である。

 

誰にでも経験があるだろうが「怒ってばかりの上司」がいたとする。「怖いから仕方なく言う事を聞く」の繰り返し。しかし怒られてばかりいれば部下はストレスが溜まる。

 

一見、上司の強い指導力の下、スムーズに運営されている部署であっても、部下の心はどこ吹く風。異動でもあろうものなら二度と話さない。その上司は、結局社内での協力者を得られない…結局、独りぼっち。

恐怖心は反発心に変化する。安心感は信頼感に変化する。

会社組織での例であるが、こんな話がある。「怒り」を背景に部下を従わせ、何事にも怒って言う事を聞かせる管理職がいる。部下たちは怯え、怖くて言う事を聞く。その部署は一見統率が取れ、やり手管理職の下、業績も上がっている。

 

しかし数年後、その部下たちが一通りの仕事を覚え、ある程度の発言力や実行力を伴った人材に成長する。その時、その管理職への感情は「恐怖」から「反発」に変わる。その時に態度を翻しても手遅れなのだ。

 

逆に、怒る事は最小限に抑え、対話と指導力で部下をコントロールする上司。部署の統率はなかなか取れないであろう。過分な労力も必要であろう。しかしながら、そんな環境で成長した部下たちは必ずその上司に信頼感を感じる。その部下たちが実力を持ったときどうなるか。結論は明白である。

 

様々な観点で長期的な人間関係を考えたとき、確かに「怒り」は何のプラスにもならないということを感じさせてくれる一冊である。